鉄筋 腐食
1)コンクリート中鉄筋へ電気化学測定を適用するための研究 鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋腐食を把握するため,電気化学測定が用いられる.コンクリート中鉄筋の電気化学特性を精緻に測定することができれば,不動態皮膜の健全性や腐食速度など,さまざまな腐食に関する情報を得る
コンクリート内部の鉄筋の腐食は、電気化学反応に起因しており、陰極(カソード)から水酸化物イオンが、また陽極(アノード)から鉄イオンが放出されます(下図)。 その際、陽極から陰極に電子が移動することにより電位差(自然電位)が発生します。 この鉄筋とコンクリートの境界面付近で行われる一連の電荷のやり取りには抵抗が存在し、これを電荷移行抵抗 P c4 と呼びます。 鉄筋の腐食速度は、この電荷移行抵抗 P c4 の大小によって支配されます。 図1 コンクリート内の鉄筋腐食 鉄筋腐食量 W(mg/cm 2 )は、ファラデーの法則より、腐食電流密度 I corr (A/cm 2 )と その経過時間 tに比例し、(1)式のように表されます。
鉄筋腐食の発生および進行には、コンクリートの含水状態が関係していることが知られている。 そのため、コンクリートの含水率やコンクリート内部の温湿度などを測定して、鉄筋腐食環境とコンクリートの含水状態の関係に関する検討が1),2)なされている。 建築物は、鉄筋コンクリート構造物においても、その表面には仕上材が施されていることが多いため、仕上材によってもコンクリート内部の含水状態が異なることが想定され、鉄筋腐食環境も異なると考えられる。 本研究では、仕上塗材を施した鉄筋コンクリート供試体、仕上塗材を施したコンクリート内部に温湿度ロガーを設置した供試体について屋外曝露を実施し、鉄筋腐食とコンクリート内部の温湿度の関係、コンクリート内部の温湿度に及ぼす外部環境の影響について検討を行っている。
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