抗 リン 脂質 抗体
抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)は1980年代に提唱された概念です。 抗リン脂質抗体と呼ばれる自己抗体が検出される例の中で、動静脈血栓症および不育症を含む妊娠合併症を特徴とする疾患です。 静脈系だけでなく動脈系をおかす点が特徴的です。 全身性エリテマトーデス(systemic erythematousus:SLE)をはじめとした自己免疫疾患を基礎疾患としてもつ二次性と、原疾患のない原発性とに分類されます。 <頻度> 日本においては全国的な疫学調査がなされておらず、正確な頻度は不明です。 後天性血栓性疾患の中では最も頻度が高いとされます。 平均発症年齢は30~40歳前後です。
抗リン脂質抗体は、「リン脂質あるいはリン脂質と蛋白の複合体に対する自己抗体」の総称であり、様々な抗リン脂質抗体が報告されています。 抗リン脂質抗体症候群の分類基準にも含まれているものとしては、抗カルジオリピン抗体、抗β 2- グリコプロテインⅠ抗体、ループスアンチコアグラントがあります。 本邦では、抗β 2- グリコプロテインⅠ抗体の代わりに、抗カルジオリピン/β 2- グリコプロテインⅠ複合体抗体が測定されることもあります。 また、分類基準には含まれていませんが、最近は抗プロトロンビン抗体が抗リン脂質抗体症候群との関連が強く注目されています。
抗リン脂質抗体症候群(anti-phospholipid antibody syndrome:APS)は,自己免疫血栓症あるいは妊娠合併症である.APS患者の半数は全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythe -matosus:SLE)に合併し,APSを定義する抗リン脂質抗体はSLEの分類基準の項目にも採択されており,APSはSLEの
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